仕事にも慣れて責任ある仕事を任されるようになると、後輩の教育係に任命されることもありますよね。「面倒だな…」「余計な仕事が増える…」と思った人もいるかもしれません。「出世のチャンス?」と期待する人もいるでしょう。教育係の経験を出世や年収アップにつなげるコツ、教育係に選ばれる人の特徴もあわせて紹介します。
- この記事でわかること
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- 教育係に必要なスキルや特徴
- 後輩を成長させる「先輩力」とは
- 教育係を出世のステップにするコツ
- 後輩の指導で気をつけるべき言動
教育係に選ばれる人の特徴とは?
まず、なぜあなたが教育係に選ばれたのでしょうか? 後輩の教育係を任されることは、会社からの「評価のチャンス」でもあります。「単に人数が足りなかったから」ではなく、上司は何かしらの意図を持ってあなたを選んでいます。教育係を上手にこなすことで、上司からの信頼を得たり、リーダー候補としての評価を上げたりすることが可能です。
教育係に選ばれる人の特徴を紹介しますので、自己分析などに役立てましょう。
仕事が安定しており、ミスが少ない
会社は、基本的な業務を問題なくこなせる人に教育係を任せます。自分の仕事で手一杯の人に、後輩を教える余裕はありません。仕事を安定して遂行し、致命的なミスが少ない人には信頼が集まるでしょう。
周囲と円滑なコミュニケーションが取れる
教育係になると後輩と話す機会が増えるため、話しやすく、気軽に質問できる雰囲気を作れる人が選ばれやすい傾向があります。コミュニケーションスキルが高いともいえます。
リーダーシップの素質がある(または試されている)
上司は教育係を選ぶとき、「この人は将来的にチームをまとめられるかも。教育係を任せてみよう」と、上司はあなたのポテンシャルを確かめようとしていることもあります。
責任感が強く、途中で投げ出さない
教育係は責任感が求められます。途中で「もう無理!」と投げ出してしまうと、後輩も困ります。最後までしっかりと業務に向き合える人が求められます。
後輩の成長を喜び、面倒見がいい
「後輩が成長するのが嬉しい!」と思える人は、教育係に向いています。指導が苦にならず、相手のためや会社のためを思って行動できるからです。損得勘定でものごとを考える人は、教育係になるとストレスも多く、判断ミスにもつながりやすいでしょう。
教えるのが上手(伝える力がある)
教育係に選ばれる人は、実は仕事ができるだけでは不十分。相手が理解しやすいように、仕事の方法やポイントを説明できる人が求められます。
冷静で感情的にならない
後輩がミスをしたときに、すぐ怒る人はNGです。冷静に対応できる人、メンタルが安定している人が教育係として理想的です。後輩についイライラしてしまう人は、こちらの記事を参考にしてみましょう。

チームプレイが得意で、協調性がある
教育係は、後輩だけに集中すればいいわけではありません。上司や周囲の先輩とも連携が必要です。チームワークを大切にできる人は教育係に適任といえるでしょう。
観察力があり、後輩の個性を見極められる
後輩といっても、人それぞれに個性があります。それぞれの性格や強みを見極め、適切な指導ができる人が求められます。
上司からの信頼が厚い(評価を試す目的も含まれる)
上司が「この人なら大丈夫」と思う人に教育係を任せる傾向があります。普段から上司とコミュニケーションが取れている、報連相ができているなど、上司との関係性も重要です。
では、教育係を成功させるために必要な「先輩力」とは、一体どんなものなのでしょうか?
教育係に求められる「先輩力」とは?
教育係として成果を上げるためには、ただ仕事を教えるだけでは不十分です。大切なのは、「この人についていきたい」と後輩に思わせること。信頼がなければアドバイスも注意も聞き入れてもらえません。そのために必要なのが、「先輩力」です。
教育係として仕事を遂行するために、どんな先輩力が必要なのでしょう。
①仕事のスキルを「言語化」できる
仕事ができる人は多いですが、「なぜそうするのか」「何が優先なのか」などについて言語化できる人は重宝されます。後輩が理解しやすいように、「手順」「考え方」「注意点」をわかりやすく説明できる力が求められます。
「とりあえず、ミスしたらすぐ報告してね」という言い方は、後輩を混乱させることも。より具体気に「報告するときは、①状況 ②原因 ③自分はどう思ったか、の3つを伝えると、スムーズに話が進むよ」など、後輩がイメージしやすいように言語化しましょう。仕事のポイントを具体的に伝えられる先輩は、後輩からの信頼を得やすくなります。
②後輩の個性に合わせた指導ができる
デキる教育係は、後輩の個性に合わせて細やかに対応を調整します。後輩の中にも「積極的に質問するタイプ」「慎重で指示待ちになりがちなタイプ」など、さまざまな個性があります。後輩の個性に合わせて指導スタイルを変えることが大切です。
積極的な後輩には「この資料、作成してみる?」と裁量を与えたり、慎重な後輩には「まずはこの手順を見て、同じようにやってみよう」とステップを細かく説明するなど、微調整を試みましょう。
③フィードバックの仕方を工夫する
先輩だからといって、何でもかんでも指示をしすぎると後輩のモチベーションや自立心が下がることも。後輩のモチベーションを下げずに成長させるには、「フィードバックの仕方」が重要です。後輩に指導をするときはいきなりダメ出しをするのではなく、「ポジティブなフィードバック→改善点」の流れで伝えると、受け入れられやすくなります。
「この資料、全然ダメだね。やり直して」という言い方はNG例です。否定から始まり、具体的な説明がありません。理想的なフィードバックの例としては、「この部分はすごく見やすくて良いね! ただ、データの根拠がもう少し明確だと説得力が増すよ。次はそこを意識してみよう!」というように、伝え方を工夫してみましょう。
教育係=出世候補?評価アップにつなげるには?
教育係は楽しいことばかりではありませんよね。後輩の成長に責任を負いますし、時間も取られます。ただし教育係をただの「雑務」と考えてしまうのはもったいないこと。実は、教育係の仕事を通じて「出世へのアピール」ができるのです。
教育係として後輩をしっかりと成長させることができると、リーダーシップや管理職に向いている、という印象につながります。より大きなプロジェクトに挑戦したい、管理職になりたいと考えている人は、教育係の仕事を前向きに捉え、下記のことを意識してみてください。
①指導の成果を「見える化」する
「指導によって後輩がどのように成長したのか」を具体的に伝えることが重要です。たとえば「○○の業務を1人で担当できるようになった」「ミスが減り、業務効率が上がった」など、成果を数値や具体例で示すと評価されやすくなります。
②上司への報告を積極的に行う
「教育係として何をしているか」を上司に報告することも忘れずに! 「○○さんが成長してきたので、次の業務に挑戦させようと思います」など、後輩の成長をアピールする形で伝えましょう。教育係の仕事の評価につなげやすいです。
③チーム全体の成長に貢献する
後輩の指導を通して、チームへの貢献ができるとより理想的です。成長した後輩が、どんな風にチームに貢献できるようになったか、前向きな視点で考える機会を設けましょう。後輩も手ごたえを感じることができると、仕事へのモチベーションが上がるはず。こうした取り組みができると、「マネジメント力がある」と評価され、管理職候補としての道が開けます。
教育係が注意したいハラスメントとは?
教育係として気をつけるべきポイントの一つが、ハラスメントの加害者にならないことです。「指導のつもりだったのに、後輩からパワハラだと思われた…」「親しみやすく接していたつもりが、セクハラになっていた…」というトラブルは、実は他人事ではありません。
近年はハラスメントやコンプライアンスの遵守がますます厳しくなっており、常に知識や感覚をアップデートさせる必要があります。トラブルを避けるために、教育係が特に注意すべき3つのハラスメントを理解しておきましょう。
①パワーハラスメント(パワハラ)
立場の強さを利用して、精神的・肉体的な負担を与えることをハラスメントといいます。たとえば「こんなこともできないの? 社会人として失格だな!」というような、人格を否定する発言をしていないか気を付けましょう。軽口のつもりで「お前がミスした分、今日は残業な!」と言うことは、「理不尽な強制」に該当します。
後輩に注意するときは「このミスは誰でも通る道だから、大丈夫。次はここを意識してやってみよう!」など、成長を促すことを意識しましょう。
怒っていると思われたくない!後輩への上手な伝え方
近年はパワハラ予防の意識が高まっており、先輩としてはどんな指導や伝え方をすると安心なのか知りたいものですよね。こちらの記事では、「先輩、怒っている…?!」と思われないようにどんな伝え方をすればよいかを解説します。

②セクシャルハラスメント(セクハラ)
性的な会話や行動を取ることは、セクハラに該当するおそれがあります。セクハラにはたとえば「〇〇ちゃんって、彼氏いるの?」「飲み会で俺の隣に座れよ」などが挙げられます。プライベートな質問や過剰に距離感を縮める行動には注意してください。
ただしセクハラを恐れすぎると、コミュニケーションが希薄になることも。「 何か困ったことがあったら気軽に聞いてね」など、業務に関するコミュニケーションは必要なものだとみなされますので安心してください。
③ホワイトハラスメント(ホワハラ)
近年、ホワイトハラスメントという新しい概念も生まれています。悪質なハラスメントとは内容が異なりますが、「良かれと思って」行動した結果、逆に相手の負担になることもあると理解しておきましょう。
ホワイトハラスメントとは、「仕事が大変そうだから、全部やってあげるね!」と後輩の成長の機会を奪うことなどが該当します。または「無理しないでいいよ。早く帰っていいからね」と過度な配慮をした結果、モチベーションを削ぐことも。
教育係は、後輩を支える立場です。「困ったときはいつでもサポートするよ」など、相手の背中を押すスタンスを意識してみましょう。後輩の成長を促しつつ、尊重する姿勢を持つことが大切です。
まとめ:教育係は「得」にできる!
教育係は「出世候補」として試されるチャンスでもあります。「先輩力」を身につければ、評価につながることもあるでしょう。後輩の教育は大変なこともありますが、成長を支えることで自分の評価も上がるチャンスです。この機会を活かし、「できる先輩」への一歩を踏み出してくださいね。
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