「イライラすると無性に何か食べちゃう!」という人は、エモーショナルイーティングに陥っているかもしれません。この記事では、エモーショナルイーティングの意味、ストレスと食欲の関係、ストレスとの付き合い方などについて解説します。
- この記事でわかること
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- エモーショナルイーティングの意味
- ストレスとエモーショナルイーティングの関係
- メンタルの不調で気をつけたい疾患
- ストレスとの上手な付き合い方
エモーショナルイーティングとは
エモーショナルイーティングとは、イライラや疲労など、感情の動きによって食べ物を食べたくなる状態を指します。特に空腹を感じているわけではないのに、「仕事で嫌なことがあったからやけ食いする」「甘い物を食べるとなんだか不安がまぎれる」などの理由で食事をすることがエモーショナルイーティングの例です。
やけ食いや衝動食いなど、食事でストレス発散をする人もいるでしょう。エモーショナルイーティングは放置すると心身に悪影響を及ぼすこともあるため要注意。次章のエモーショナルイーティングでセルフチェックしてみましょう。
エモーショナルイーティングのセルフチェック
エモーショナルイーティングをしている人に見られる傾向を挙げました。ご自身の食生活や普段の行動を思い返しながらセルフチェックしてみましょう。
- エモーショナルイーティング・チェックリスト
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- ストレスを感じると、無性に何か食べたくなる
- 何かを食べた後は、イライラなどが治まってくる
- 食事のあとは満足感や幸福感を得られるが、その状態は持続しない
- イライラや気分が落ち込むことがあると、自然と食べ物を探している
- お腹が空いていないのに、食べ物のことばかり考えている
- ストレスを感じたときは、脂質や糖質が多いものに手が伸びやすい
- 「疲れたら甘い物」など、おやつや間食が癖になっている
- 食事を楽しめていない
- 極端な食事制限をしている
当てはまる項目が多かった人は、エモーショナルイーティングをしている可能性が高いかもしれません。特にイライラや悲しみなどのストレスを食事で発散している人は、エモーショナルイーティングについて理解を深めることをおすすめします。
ストレスが原因で食欲が増すのはなぜ?!
人間の体はストレスを感じると、体内でアドレナリンやコルチゾールといったストレスホルモンを放出します。コルチゾールには幸せホルモンのセロトニンを抑える働きがあります(参考:厚生労働省「ストレスに負けないセルフメンタルヘルス」)。セロトニンは食欲を抑える働きを持ちますが、コルチゾールによってセロトニンの分泌が減ると、食欲が増すように感じられるというわけです。
さらに私たちの体には自律神経という大切な器官がありますが、自律神経はストレスの影響を受けます。急性のストレスを受けたときは一般的には食欲が抑えられ、慢性的なストレスを受けたときは脂肪をため込みやすくなります(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット)。
つまり、ストレスを感じれば感じるほど食欲が増し、ストレスが長期化したり慢性化したりすると太りやすい体になってしまうということです。ダイエットを成功させたいと思うあまり極端な食事制限をした場合、「食べたいものを我慢している」というストレスによって、痩せにくい体になるリスクがあるというわけです。
エモーショナルイーティングが起きやすいタイミング
エモーショナルイーティングは、一時的なもので終わるケースと慢性的に続いてしまうケースがみられます。
一時的なケースとは、異動や引っ越しなど環境の変化がストレスになってエモーショナルイーティングを引き起こしている場合です。環境への慣れなど、時間とともに食欲が正常に戻ることもあります。失恋直後や挫折などに直面したときも、エモーショナルイーティングが起こる可能性が高まるでしょう。
このようにストレスの原因がハッキリとしていない場合でも、エモーショナルイーティングが引き起こされることもあります。あるいはストレッサーが取り除かれないために、ストレスホルモンによって食欲が増進されることもあるでしょう。
エモーショナルイーティングが重大な疾患を招く?
エモーショナルイーティングを放置していると、うつ病や摂食障害を招くおそれもあります。感情にまかせて脂質や糖質の多い食事が増えると、糖尿病や高血圧、脂質異常症といった生活習慣病のリスクが高まりやすくなります。そのほか、ニキビや脂性肌など美容面のデメリットを引き起こす原因にもなりかねません。
エモーショナルイーティングは習慣化を防ぐのが大切!
エモーショナルイーティングを完全に防ぐのは簡単ではありません。なぜかというと、食事で気持ちがリラックスするのは悪いことではないからです。エモーショナルイーティングを回避しようとするあまり、食べたい気持ちを過度に我慢するのはかえってストレスのもとです。
また、女性の体は生理前にホルモンの関係で食欲が増すこともわかっています。急性的な食欲の増加は問題ないことも多いのです。男性であっても、そのときの心身のコンディションによって食欲が増すことがあるのが自然でしょう。
問題なのは、エモーショナルイーティングが習慣化してしまうことです。「エモーショナルイーティングしてるかも!」と思ったら、早めにストレスに対処するのがおすすめです。
エモーショナルイーティングの解消法
エモーショナルイーティングを解消し、心身を健康的に保つためにはどんなことを意識するとよいのでしょう。
食べること以外のストレス発散法を見つける
エモーショナルイーティングは、食事でストレス発散をしている状態です。そのため、食事以外のストレス発散法を見つけることで、エモーショナルイーティングを解消することができます。
ストレスをこまめに発散する
ストレスを感じると、体内ではコルチゾールという物質が放出され、幸せホルモンのセロトニンの分泌を妨げると考えられています。そのため、ストレス状態が続くと幸せも感じにくくなる、という悪循環に陥りやすくなってしまいます。この悪循環を断ち切るためにも、ストレスは溜めずにこまめに発散するのがおすすめです。
食べ物の買い置きを減らす
エモーショナルイーティングが習慣化している人は、ストレスを感じると無意識に冷蔵庫を開けるなど食べ物を探す傾向があります。身近なところに常に食べ物があると、歯止めが利きません。家では食べ物の買い置きをなるべく減らしましょう。会社でもお菓子の買い置きはやめて、いつでも気軽に何かを食べられる環境をなくしてみてください。
極端なダイエットをしない
極端なダイエットをしている人は、反動でエモーショナルイーティングを引き起こすこともあります。食事制限がストレスとなり、結果として食欲が爆発するという悪循環も招きがちです。ダイエットの基本は、栄養バランスの取れた食事、カロリーコントロール、運動習慣と考えられています。リバウンドを避けるためにも、ダイエットは長期戦で臨みましょう。
生活リズムを整え、睡眠時間を確保する
睡眠不足はコルチゾールの分泌過多を招くことがあります。また、睡眠不足になるとレプチンというホルモンの分泌量が減ります。レプチンは満腹感を感じさせる食欲抑制ホルモンです。レプチンが減ることで、食べているのに満足しない状態を引き起こしてしまいます。
筋トレや有酸素運動を取り入れる
適度な運動はセロトニンの分泌を活性化させます。心のリフレッシュにもつながるほか、筋肉量が増えるので、スタイルアップも期待できます。筋トレや有酸素運動を取り入れることで、健康的なダイエットにもつながるでしょう。
エモーショナルイーティングで病院を受診してもいい?
なかなかエモーショナルイーティングをやめられない人は、病院を受診するという選択肢も検討してみてください。特に、過食の後に嘔吐が癖になっている、エモーショナルイーティングの反動で極端な食事制限をしてしまう、体重の増加または減少が激しいというような状態が起きている場合、早めに心療内科や精神科などの医療機関を受診するのが安心です。
摂食障害のケースでは治療が必要になります。体にも異変が起きている可能性がありますので、専門家を頼ってアドバイスを仰ぎましょう。
おわりに:ストレスを発散してエモーショナルイーティングの習慣化を防ごう
エモーショナルイーティングがもたらすデメリットやリスクについて紹介しました。心当たりがある人はご自身の心の状態や体の声に耳を傾けましょう。ストレス発散などのセルフケアをしつつ、心配な人は医療機関に相談するのが安心ですよ。
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