インバウンド需要への期待が高まっている一方で、日本から海外に出稼ぎに行く人が増えるのではとも考えられています。海外へ出稼ぎに行くメリット・デメリット、日本と各国の経済的豊かさの比較などを解説しますので、参考にしてくださいね。
- この記事でわかること
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- 日本と先進国、アジアの経済的豊かさの比較
- 日本から海外に出稼ぎに行く人が増えている理由
- 海外に出稼ぎしたい人が知っておくべきメリット・デメリット
- 海外への出稼ぎ前にしておきたい準備
日本と海外諸国のGDP・賃金上昇率・平均賃金を比較!
「GDP」とは「Gross Domestic Product」を略した経済用語で、「国内総生産」を指します。GDPは国の経済活動状況を示す指標で、一定期間に国内で生み出された付加価値の総額です。国内総生産をその国の人口で割った数字は、一人当たりGDP(1人当たり国内総生産)といいます。
GDPからその国の豊かさを測ることができ、国民1人当たりのGDPが高いほど、所得も高くなると考えらています。また、GDPの成長率(前年同期や前年との比較)が増えているほど、その国が経済的に成長していることになります。
G7(アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、日本)など上位10か国とアジア諸国のIMF(国際通貨基金)が発表した2022ンrンのGDPを見ていきましょう(参考:ELEMINIST HP)。
- 各国のGDP(単位:百万US$)
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- 1位:アメリカ(25,346,805)
- 2位:中国(19,911,593)
- 3位:日本(4,912,147)
- 4位:ドイツ(4,256,540)
- 5位:インド(3,534,743)
- 6位:イギリス(3,376,003)
- 7位:フランス(2,936,702)
- 8位:カナダ(2,221,218)
- 9位:イタリア(2,058,330)
- 10位:ブラジル(1,833,274)
- 12位:韓国(1,804,680)
- 13位:オーストラリア(1,748,334)
- 14位:イラン(1,739,012)
- 17位:インドネシア(1,289,295)
- 18位:サウジアラビア(1,040,166)
- 21位:台湾(841,209)
- 28位:タイ(522,012)
- 34位:マレーシア(439,373)
- 37位:シンガポール(424,431)
- 38位:フィリピン(411,978)
- 39位:ベトナム(408,947)
GDPでは日本は3位となりましたが、賃金上昇率ではG7の中で最下位となっているのが現状です。下記は、2021年にOECDが発表した数字で、1995年を100として賃金上昇率を()内に表しています。
- 各国のGDP
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1位:アメリカ:149.27%
2位:イギリス:142.84%
3位:カナダ:137.89%
4位:フランス:128.46%
5位:ドイツ:122.25%
6位:イタリア:105.68%
7位:日本:103.32%
GDPと実質賃金上昇率を照らし合わせると、日本はまだ経済的に豊かな国といえる範囲になるものの、賃金上昇率は低く、国民一人一人が豊かであるとは言い難いことがわかります。ただしアメリカでは急激なインフレが進んでいるなど、数字を単純に読んだだけでは実情と沿わないこともあるでしょう。
OECDが発表した2020年の実質賃金を比較すると、実質賃金が高いのは上位からアメリカ、アイスランド、ルクセンブルク、スイス、オランダと続きます。
- 各国の平均賃金
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- アメリカ:6万9,392ドル
- アイスランド:6万7,488ドル
- ルクセンブルク:6万5,854ドル
- スイス:6万4,824ドル
- オランダ:5万8,828ドル
- 日本:3万8,365ドル
GDPでは上位だった日本ですが、アメリカとの差は大きく、アジアでは韓国が実質賃金400万ドルを超えているのに対し、日本では400万ドル未満となりました。
今後の各国の経済状況や社会情勢などさまざまな変化によっては、これらのランキングも変わってくることが予想されます。そんな中、日本よりも経済活動が大きな国や都市へ「出稼ぎ」に行きたいと考える人も増えてきているのではないでしょうか。
海外に出稼ぎに行くメリット・デメリットとは
日本から海外に出稼ぎに行くことには、メリットとデメリットの両方があります。まずはメリット・デメリットをご自身のスキルや状況と照らし合わせて、自己分析をしてみるのがおすすめですよ。
- 日本から海外に出稼ぎに行くメリット
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- 日本の国内企業の賃金は横ばい状態が多いため、収入アップを見込める
- 円安の時期に海外で働くと、日本円にしたときにお得に感じられる
- 日本で働いていると、労働時間に対して給与が見合っていないと感じられることもある
- 海外は結果や実力で給与が考慮されやすい
- サービス残業の不満が解消されやすい
- 働きながら言語のブラッシュアップや海外業務の経験を積むことができる
- 国や企業によってバケーション制度などがあり、休暇が取りやすい
- 国や業界、職種によってはチップ制度があり、給与以外の収入も得られる
- 帰国後に、海外経験が自己アピールとなることがある
- 日本から海外に出稼ぎに行くデメリット
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- 国や都市によっては物価や家賃が日本より高い
- 成果や結果を出せない場合、解雇のリスクが高まる
- 円高の時期は、給与を日本円に両替すると損に感じられる
- 日本の年功序列制度とは異なる賃金体系のため、年齢とともに給与がアップするとは限らない
- 住居や宅配などのサービスが、日本国内よりもカジュアルで不満に感じられることもある
- 食文化やマナーに馴染めないことがある
- 国や都市によっては治安に不安がある
- ビザの準備や滞在費など渡航のための時間的コスト・経済的コストがかかる
- 高いスキルを持っていないとビザがおりないことがある
- 出稼ぎ期間が短期期間の場合、帰国後の転職活動で職歴にネガティブな印象を抱かれることもある
給与や労働環境、スキルアップなどの面で日本で働くことに疑問や不満を抱えている場合、海外に出稼ぎに行くことで環境を変えることはできます。ただし海外に行けばどんな業界や職種でも環境が好転するとは限りません。好待遇・高収入を目指す場合、スキルや語学力が求められることがほとんどです。
海外での出稼ぎは円安の時期がお得?
海外に出稼ぎに行く場合、どの時期に行くかが重要になることがあります。円安の時期と円高の時期で比較すると、円安の時期の方がおすすめです。
円安とは、円の価値が安くなるという意味です。円安では輸入品の価格が上がりますので、日本国内に住んでいると、食料など海外からの輸入品を購入するコストが大きくなります。日本の賃金上昇率は高くありませんので、円安の場合は収入は横ばいだが支出が増えるという可能性が高くなります。
円の価値が安くなる円安では、外貨の価値が高くなることも覚えておきましょう。円安の時期に海外で働き、外貨で給料をもらった場合、得た収入は日本円に対する価値が高い状態になります。
たとえば、アメリカに出稼ぎに行ったとします。月収が3,000ドルだった場合、1ドルが110円のときは日本円に換算すると33万円です。これが円安になって1ドルが150円になった場合、日本円に換算すると45万円になります。
海外への出稼ぎで収入アップ・キャリアアップできるのはどんな人??
海外の出稼ぎで収入アップや労働環境改善、キャリアアップが見込めるのは、どんな特徴を持った人なのでしょう。
- 海外への出稼ぎがうまくいく人の特徴
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- 国際的に通用するスキルを習得している
- 滞在国の公用語や母語のスキルを習得している
- 国際的な経済・お金の知識を持っている
- コミュニケーション能力が高い
- ミスをしても前向きになれるポジティブマインド
- 滞在地の文化やビジネス感覚を尊重できる
出稼ぎで働く場合、必ずしも言語スキルや特定の業務における専門知識や技術が求められるわけではありません。ただし、収入アップやキャリアアップを目指す場合は、ある程度のスキルが必要だと考えておきましょう。
また、日本と外国とでは基本的なマナーや人との距離感、仕事への価値観などが大きく異なることがあります。異文化に適応できるかどうかは出稼ぎの成功を左右するといっても過言ではありません。
日本が好きで、外国で働くことに不安がある場合は、海外経験のある人に話を聞いたり、情報収集をしてイメージを描いておくのが安心です。
海外で効率よく出稼ぎするためのポイント
海外で出稼ぎをして、効率よく貯金をしたり経験を積んだりしたい人は、下記のポイントを押さえておきましょう。
- 効率よく出稼ぎするための準備
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- 働きたい国の情報(経済・政治・食事など)を調べておく
- 英語力など語学力を磨く
- 海外で就職するためのビザについて調べておく
- 現地に行く前に、その国や都市の求人を調べておき、面接などを受けてみる
- ワーキングホリデーを利用できる場合、経験しておく
- 語学力に心配がある場合、日本語でも就職可能な求人を探しておく
- 円安の時期に出稼ぎをする
思い切って海外の環境に飛び込むのも刺激的ですが、効率性や確実性を求める場合は、上記の項目などを中心にあらかじめ確認しておくのがおすすめですよ。
おわりに:海外への出稼ぎは事前のスキルアップと情報収集で効率的に
国際的な社会情勢や日本の経済成長などによっては、海外で出稼ぎすることにはメリットがあります。スキルアップなどの準備を進めておくと、「海外で働こう!」と思ったときの一歩を踏み出しやすくなりますよ。
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