リモートワークや地方創生の取組の推進によって、都心を離れて地方移住を検討する人が増えました。心配なのが、地方移住に伴う転職や働き方の変化をどう成功させるかです。
この記事では地方移住のメリットとデメリット、転職成功のポイントを紹介します。
- この記事でわかること
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- 地方移住によるメリット・デメリット
- 地方で高収入を得られる業界・職種
- 地方で転職を成功させるためのポイント
- 地方移住者におすすめの移住支援制度
地方ならではの地方移住のメリット・デメリット
地方移住には都市部では得られないメリットがあります。一方で、人によってはデメリットに感じられることも少なくありません。
仕事と日常生活それぞれにおける、地方移住のメリットとデメリットを理解しておきましょう。
- 地方移住で得られる仕事面のメリット
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- 通勤ラッシュに遭いにくい
- 地域に密着した仕事ができる
- 起業の助成制度を受けられる
- 職種によっては都市部より年収が高い
- 地方移住で得られる生活面のメリット
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- 自然が豊か
- 食べ物が新鮮で美味しい
- アウトドアや屋外レジャーが豊富
- 環境がよく、子どもが自然と触れ合える
- 待機児童問題が少ない
- (Uターンの場合)親や昔ながらの友人のそばに住める
- 地域の伝統や文化を楽しめる
- 家賃や生活費が都市部より安い
- 地方移住による仕事面のデメリット
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- 求人は都市部より少ない傾向がある
- 都市部と比べて給料が低い傾向がある
- スキルアップやキャリアアップのための交流会や情報が少ない
- 地方移住による生活面のデメリット
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- マイカーを持っていないと行動範囲が狭まる
- 自然災害のリスクが高い地域もある
- 地域イベントやご近所付き合いが負担になることもある
地方移住のメリットで特に興味深いのは、職種によっては都市部より地方の年収が高くなる可能性があることではないでしょうか。次章では地方の方が年収が高くなりやすい職種を紹介します。
地方で高収入が期待できる仕事の種類
一般的に収入は地方よりも都市部の方が高くなります。下記の業界は都市部でも地方でも収入が高くなりやすい職種が多いです。
- 高収入の業界・職種
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- 金融・保険業界
- メーカー
- 建設・建築業界
- 医療業界
- 弁護士・税理士、公認会計士
- 公務員
職種としては、たとえば薬剤師は都市部よりも地方の方が年収が高い傾向があります。これは地方では住民に対する薬剤師の数が少ないため、薬剤師の需要が高くなるためです。ただしこうした専門職のニーズは、人口が少ない地域であれば必ずしも上がるとは限りません。
病院やクリニック、弁護士事務所を開いたとしても、住民の数があまりにも少なければお客さんも増えにくいため、収入を上げることは難しくなります。
地方移住のための転職を成功させるポイント
地方移住で転職を考えている場合、満足いく条件の職場を見つけて転職を成功させるためには、次のポイントを意識してみてください。
地方でも続けやすい職種・業界で働く
職種によっては都市部に会社が集中していることがあります。たとえば高収入のコンサルタントやマスメディア関連の仕事は、都市部に比べると求人が見つけにくいでしょう。
地方でも求人を見つけやすい業界・職種は、下記が代表的です。
- Web業界(Webデザイナー、Webプログラマー など
- 介護業界
- 農業・業業・畜産業など地域の一次産業
- 空き家を利活用したカフェや民宿
- 地方公務員
- 地域の優良企業・大企業
地域の就労サイトを活用する
転職先の職場を探すとき、転職サイトや転職エージェントを利用する人は多いものです。ただし、サイトや会社によっては地方の求人の掲載数が少なかったり、求人の質があまり高くないこともあります。
転職サイトやエージェントを利用するときは、移住先の求人数が豊富かどうかなど、複数の転職支援サービスを比較しましょう。
また近年は、地方ならではの就労支援サイトが成長しています。地域の情報やネットワークに強く、他のサイトでは扱っていない優良な求人が見つかる可能性もありますよ。
自治体の補助金や移住支援制度を調べる
地方移住の際には、移住先の自治体による支援制度を調べておくようにしましょう。地方の自治体では特に人口減少や過疎化が進んでおり、移住促進に力を入れています。移住者受け入れのために、経済的支援や起業支援を設けていることが多いです。
住まいを探しているときは空き家バンクを利用することもおすすめです。空き家バンクは、空き家問題解消のために始まった制度です。地方だけでなく都心部でも活用されており、移住や引っ越しで家を探すときに便利です。たとえば不動産仲介業者に支払う仲介手数料がいらない、ビジネス利用もできる、補助金制度を活用できることもあるなど、安い金額で住まいやオフィスを借りることができるのです。
地方移住者におすすめの支援制度
地方移住を予定している人ならぜひチェックしておきたい制度について解説します。この記事では「移住支援金制度」「起業支援金制度」「地域おこし協力隊」を取り上げます。
移住支援金制度
移住支援金制度とは主に、条件を満たす方が地方に移住し、就業や起業する場合に利用できる経済的な移住支援制度です。内閣府のWebサイトを参考に、移住支援金制度について解説していきます。
移住支援金制度の支給対象となるのは、下記の条件を満たす人です。
- ①【移住元】東京23区の在住者または東京圏から東京23区へ通勤している者
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- 移住直前の10年間で通算5年以上、東京23区に在住または東京圏(条件不利地域を除く)に在住し、東京23区へ通勤していた者
- ただし直近1年以上は、東京23区に在住または通勤していることが必要(※雇用者としての通勤の場合にあっては、雇用保険の被保険者としての通勤に限ります)
- 東京圏(条件不利地域を除く)に在住しつつ、東京23区内の大学等へ通学し、東京23区内の企業等へ就職した者については、通学期間も本事業の移住元としての対象期間に加算可能
- ②【移住先】東京圏以外の道府県又は東京圏の条件不利地域への移住者(移住支援事業実施都道府県・市町村に限る)
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- 移住支援金の申請が転入後3か月以上1年以内であること
- 申請後5年以上、継続して移住先市町村に居住する意思があること など
- ③【就業等】地域の中小企業等への就業やテレワークにより移住前の業務を継続、地域で社会的起業などを実施
- 移住先では、以下の1~4のどれかに該当する必要があります。
- 地域で中小企業等へ就業(移住支援金の対象として都道府県のマッチングサイトに掲載されている求人に就業すること。または、プロフェッショナル人材事業または先導的人材マッチング事業を利用して就業すること)
- テレワークによる業務継続(自己の意思によって移住し、移住先で移住前の業務を引き続き行うこと)
- 市町村ごとの独自要件(市町村が地域や地域の人々と関わりがある者(関係人口)として認める要件を満たすこと。※要件は市町村によって異なるため、詳細は移住希望先都道府県・市町村へ直接お問い合わせください)
- 地方創生起業支援事業を活用(1年以内に起業支援金の交付決定を受けていること)
移住支援金制度が指す東京圏とは東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県です。条件不利地域については下記のように定められています。
- 条件不利地域とは
- 「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」「山村振興法」「離島振興法」「半島振興法」「小笠原諸島振興開発特別措置法」の対象地域を有する市町村(政令指定都市を除く。)
- 一都三県の条件不利地域の市町村
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- 東京都:檜原村、奥多摩町、大島町、利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ケ島村、小笠原村
- 埼玉県:秩父市、飯能市、本庄市、ときがわ町、横瀬町、皆野町、長瀞町、小鹿野町、東秩父村、神川町
- 千葉県:館山市、旭市、勝浦市、鴨川市、富津市、南房総市、匝瑳市、香取市、山武市、いすみ市、東庄町、九十九里町、長南町、大多喜町、御宿町、鋸南町
- 神奈川県:山北町、真鶴町、清川村
起業支援金制度
起業支援金制度とは、主に東京圏以外の地域で地域課題解決に取り組む事業を始める人を支援する制度です。「社会性」「事業性」「必要性」 の観点をもった企業や社会的事業を対象とし、最大で200万円の支援金が支給されます。
起業支援金制度の支給対象となるのは、下記の条件を満たす人です。
- 対象者
- 新たに起業する場合(次のア~ウすべてを満たすことが必要)
- ア.東京圏以外の道府県又は東京圏内の 条件不利地域において社会的事業の起業を行うこと
- イ.国の交付決定日以降、補助事業期間完了日までに、個人開業届又は法人の設立を行うこと
- ウ.起業地の都道府県内に居住していること、又は居住する予定であること
- 事業承継又は第二創業する場合(次のア~ウすべてを満たすことが必要)
- ア.東京圏以外の道府県又は東京圏の 条件不利地域において、Society5.0関連業種等の付加価値の高い分野で、社会的事業を 事業承継又は第二創業により実施すること
- イ.国の交付決定日以降、補助事業期間完了日までに、事業承継又は第二創業を行うもの
- ウ.本事業を行う都道府県内に居住していること、又は居住する予定であること
地域おこし協力隊に参加する
地域おこし協力隊とは、地域外の人材を積極的に受け入れ、地域の課題や活性化を担ってもらう制度です。地域おこし協力隊に選ばれた人は活動費が支給され、その地域で暮らしながら地域活動に取り組みます。
- 地域おこし協力隊になる方法
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- 地方自治体が発信している地域おこし協力隊の募集を探す
- 地方自治体に申し込む
- 選考(書類選考、面接など)を受ける
- 選考に合格した場合、地方自治体から委嘱状等が交付にされ、「地域おこし協力隊」としての委嘱を受ける
- 採用先の地方自治体に住民票を移動し、地域おこし協力隊として活動を開始する
参考:地域おこし協力隊HP
地域おこし協力隊の活動期間は、1年以上3年以下の期間がほとんどです。支給される活動費は月額で16万~20万円程です。
おわりに:地方移住はメリットが大きい!転職を成功させればもっと移住生活が充実
地方移住に伴う転職成功のポイントを紹介してきました。近年は移住受け入れに積極的な自治体が増えていますので、支援制度を活用しながら満足できる移住生活を実現してくださいね。
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